お薬のかたち(剤形)~外用薬編

こんにちは。北浦和 みどりの薬局の管理薬剤師 緑川です。
みなさまに知っていただきたい「お薬のきほん」第3弾!前回に引き続き、お薬の形状(剤形)についてご紹介していきます。今回は外用薬の剤形についてです。
◆外用薬・・・皮膚やのどの粘膜など外部から吸収させる薬
1.軟膏剤
粘度がある半固形剤で、皮膚に塗布する用法に適しています。
軟膏剤は白色ワセリンなどの油脂を基剤としているため保湿力が高く、また余分な添加物が入っていないため刺激が少ないのが特徴です。その一方で、油分が多いためべたつきやテカリが気になることがあります。
2.クリーム剤
油脂と水を乳化させたものに薬物を配合した塗り薬です。
さらっとして塗りやすく、軟膏ほどべたつきがありません。薬剤が皮膚へ浸透しやすいのが特徴ですが、傷に塗ると刺激を感じることがあります。
3.ローション剤
ローション剤は薬物を水溶性の液体に分散させたもの、もしくはアルコールや界面活性剤を使用して液体に溶解したものです。
クリーム剤よりもさらにさらっとした使用感で、べたつきもほとんどありません。しかし、汗や摩擦などで薬が取れやすく、またクリーム剤よりもさらに刺激が強いため、傷がある場合には使用を避けたほうがいいでしょう。
4.貼付剤(湿布薬)
皮膚に貼付する薬で、パップ剤とテープ剤があります。
パップ剤とは水溶性の基材に薬物を塗布したもので、いわゆる『湿布薬』と言われてイメージする、少し厚みのある白い湿布薬です。水分が気化する際に皮膚から熱を奪うため、ひんやりと冷たいですが、粘着性ではテープ剤に劣ります。
一方、テープ剤は脂溶性の基材に薬物を塗布したもので、皮膚との親和性が良く、剥がれにくくなっています。親和性が良いため薬剤の浸透性・吸収性が高く、保温効果もあります。しかし剥がれる心配が少ない一方で、かぶれなどの肌荒れの症状が出ることがあります。
パップ剤とテープ剤の使い分けは、捻挫や打撲などの急性的な痛みには冷感のパップ剤を、肩凝りや腰痛などの慢性的な痛みには保温効果のあるテープ剤を使用するのがよいでしょう。
5.坐剤(坐薬)
薬物をカカオ脂などの基剤に混ぜて一定の形状に成型した半固形剤です。
肛門や膣内に挿入すると体温によって溶けるか、または分泌液によって徐々に溶けます。坐剤は腸の粘膜から直接血液中に吸収されるため、一般的に内服薬よりも早く薬の効果が現れます。
「○○サポ」という名前がついていれば坐剤のことを指します。
6.点眼薬(目薬)
目に直接投与する液状の薬剤です。
2 種類以上の点眼剤を点眼する場合、5分以上間隔を空けてください。間隔が短いと、先に点眼した薬が後に点眼した薬によって洗い流され十分な効果が得られないことがあります。
また1回の点眼量は片眼1滴ずつで十分で、それ以上の量を点眼しても目の外に流れてしまいますのでご注意ください。
7.点鼻薬
鼻内に注入する液状の薬剤で、主にアレルギー性鼻炎や鼻づまりなどの鼻の炎症を抑えることを目的としています。点鼻薬は大きく分けて、抗アレルギー薬の点鼻薬・ステロイドの点鼻薬・血管収縮剤の点鼻薬の3種類があります。
抗アレルギー薬はアレルギーの原因物質であるヒスタミンの発生を抑えるため、症状発生の予防を目的として使用すると最も効果を発揮します。
ステロイド点鼻薬は、過剰な免疫反応を弱めることで炎症を抑えます。症状に対して作用するため、予防目的での使用には向いていません。血管収縮剤は、鼻粘膜の腫れを収縮させることで鼻づまりを改善させます。
血管収縮剤は鼻づまりに対して即効性が極めて高いのが最大の特徴ですが、その一方くしゃみ・鼻水症状に対してや予防目的での使用にはあまり効果がありません。
以上、外用薬の剤形についてご紹介しました。
外用薬の剤形は多岐にわたっており、症状に合わせてお薬を選択することが大切です。お薬の形状にはそれぞれちゃんと意味がありますので、それを理解して上手にお薬を使っていただければと思います。
お薬の形状だけではなく、飲み方や使い方などでご不明な点があれば、ぜひ医師・薬剤師にご相談ください。