
生薬の薬味と五臓
こんにちは。北浦和 みどりの薬局の管理薬剤師 緑川です。 前回のお話で、薬味(五味)は五臓と関連付けられているとお話させていただきました。 まずは前回のおさらいです。 1. 薬味=生薬の味のこと 2. 薬味が同じ生薬の作用は類似する 3. 複数の薬味を持つ生薬は作用範囲が広い 【五味】 『辛』 (辛味) → 肺(はい)に作用する 、発散・発汗作用 『甘』 (甘味) → 脾(ひ) に作用する 、緊張緩和・滋養強壮作用 『酸』 (酸味) → 肝(かん)に作用する 、収縮・固渋作用 『苦』 (苦味) → 心(しん)に作用する 、熱を鎮め、湿りを乾かす作用 『鹹』 (塩味) → 腎(じん)に作用する 、乾きを潤し、軟化させる作用 ※収斂・固渋作用・・・体を引き締め、気や陰液(人体を構成する体液の総称)が過剰に漏れ 出るのを防ぐ働き 漢方薬でいう五臓は、解剖学的な臓器(内臓)とは一致せず、人体の働きや機能を意味しています。 『肺』 ・呼吸を司どり、人体の「気」をコントロールします。 ・肺の状態は肺と経路がつながっている鼻に表れます。 【関連する疾患】風邪、

生薬の薬性と薬味
こんにちは。北浦和 みどりの薬局の管理薬剤師 緑川です。 今日のテーマは『生薬の薬性と薬味』です。 まず生薬とは、漢方薬の原料のことで、「きぐすり」とも言われます。一般に漢方薬は4~10種類以上の生薬を組み合わせて作られています。 生薬には薬効のある根や茎、果実、花など植物のさまざまな部位を乾燥させたものや鉱物、貝殻など天然由来のものが用いられています。 生薬の作用は体を温めるか冷やすか、または味覚によって分類されます。この「体を温めるか冷やすか」が『薬性』、甘い・辛い・苦いなどの味覚が『薬味』になります。 それでは『薬性』と『薬味』について見ていきましょう。 ◆薬性◆ 薬性とは生薬の性質のことで、主に5つに分類されます。 【五気】 『寒』 → 消炎・鎮静作用、体を冷やす (薬性が強い) 『涼』 → 〃 (薬性は穏やか) 『平』 → 寒熱の境界があまり明らかではない (薬性は比較的穏やか) 『温』 → 興奮作用、体を温める (薬性は穏やか) 『暖』 → 〃 (薬性が強い) 『寒』『涼』の生薬は熱証タイプ